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グリストラップ清掃

グリストラップの掃除を自分でやる方法|手順・道具・水の抜き方・頻度と業者に頼む境界

グリストラップの掃除は、日常清掃は自社で・汚泥の全量回収は業者でと役割分担するのが基本です。バスケットのゴミ取りや浮上油のすくい取りは自分でできますが、槽底の汚泥は産業廃棄物になるため許可業者への委託が必要です。本記事では、自分でできる掃除の手順・道具・水の抜き方・頻度の目安、すくった油や残渣の捨て方、熱湯がNGな理由、そして業者に頼むべき境界までを飲食店オーナー向けに整理します。

最終更新:2026年6月16日 執筆:寺尾聡(運営者・施設管理情報担当)

Q. グリストラップの掃除は自分でできる?

A. バスケットのゴミ取り・浮上油(スカム)のすくい取りなど日常清掃は自社で可能。ただし槽底の汚泥の全量回収は産業廃棄物になるため許可業者へ委託が必要です。油・汚泥を下水に流すのは違法・詰まりの原因。掃除後は必ず水を張って封水を保ち、臭いの逆流を防ぎます。

※下水道法・廃棄物処理法・自治体の維持管理資料をもとに整理

この記事の結論(3行サマリ)

  • 日常清掃は自社で・汚泥の全量回収は業者で。汚泥・廃油は産業廃棄物なので許可業者への委託が必須
  • 手順は「残渣→スカム→こすり洗い→水を張る」。掃除後は必ず封水を戻して臭いの逆流を防ぐ
  • 油・汚泥は下水に流さない/熱湯で溶かさない。すくい取って適正に処分するのが正解

自分でできる範囲・できない範囲

グリストラップの清掃は、「自社でできる日常清掃」と「業者に頼むべき全槽清掃・産廃処分」に分かれます。まずこの線引きを押さえましょう。

自分でできる範囲と業者に頼む範囲
作業担当理由
バスケット(残渣カゴ)のゴミ取り自社で可能日常的な簡易清掃
浮上油(スカム)のすくい取り自社で可能すくって回収・処分できる
槽内のこすり洗い・水張り自社で可能日常清掃の範囲
槽底の汚泥の全量回収(全槽清掃)許可業者へ委託汚泥・廃油は産業廃棄物
汚泥・廃油の運搬・処分許可業者へ委託収集運搬業許可・マニフェストが必要

ポイントは、日常清掃を丁寧にやるほど、業者による全槽清掃の負担と頻度を抑えられること。自社清掃と業者清掃は対立ではなく、組み合わせて使うのが正解です。

必要な道具

日常清掃に使う道具は、ホームセンターで揃うもので十分です。

  • ゴム手袋・使い捨て手袋:油・汚れから手を守る
  • ひしゃく・油すくいアミ:浮上油や残渣をすくう
  • ペール缶・ゴミ袋:すくった油・残渣を入れる
  • スポンジ・ブラシ:槽内のこすり洗い
  • 油吸着シート・吸着材:浮上油を吸わせて回収
  • マスク:臭い対策

汚泥のポンプ汲み上げなど専門的な道具が必要になる作業は、業者の領域です。日常清掃は上記の基本セットで対応できます。

日常清掃の手順

典型的な日常清掃(バスケット+スカム)の流れを示します。営業終了後に行うのが基本です。

① バスケットの残渣を除去

第1槽のバスケット(残渣カゴ)を引き上げ、食材くずなどのゴミを取り除きます。水を切ってから処分します。

② 浮上油(スカム)をすくう

水面に浮いた油(スカム)を、ひしゃくやアミですくい取り、ペール缶や吸着材で回収します。下水に流さないこと。

③ 槽内・部品をこすり洗い

バスケットや仕切り板、槽の内側をスポンジ・ブラシでこすり洗いします。ぬめり・こびりつきを落とします。

④ 水を張って封水を戻す

掃除後は必ず水を張り、トラップ管の封水を保ちます。封水が切れると下水の臭いが逆流します。

毎日の作業はバスケットの残渣除去が中心、週1回程度でスカムのすくい取りとこすり洗いを加える、というイメージです。

水の抜き方と封水の戻し方

「水の抜き方が分からない」という声は多いですが、いくつか注意点があります。

  • 油を取り除いてから:油分を多く含んだ水をそのまま下水に流さない。先にスカム・残渣を回収する
  • 汲み出す:ひしゃくやポンプで水を汲み出す。構造によってはトラップ管を外して排出する
  • トラップ管を元に戻す:外した部品は必ず正しく戻す
  • 水を張って封水を作る:最後に水を張り、封水(臭いの逆流を防ぐ水の層)を確保する

封水を切らさない

トラップ管の封水が切れると、下水の臭いが厨房に逆流します。「掃除したら臭くなった」という失敗の多くは、封水を戻し忘れたことが原因です。構造が複雑で分解に不安がある場合は、無理をせず業者に相談してください。

掃除の頻度の目安

自治体の維持管理資料では、おおむね次のような頻度の目安が示されています。

清掃頻度の目安
対象頻度の目安担当
バスケットの残渣毎日自社
浮上油(スカム)週1回以上自社
槽内の汚泥の引き抜き(全槽清掃)月1回以上許可業者

揚げ物・中華・焼肉・ラーメンなど油脂排出量の多い業態は、これより高い頻度が必要です。頻度設定や費用感はグリストラップ清掃の費用相場2026、法的な位置づけはグリストラップ清掃・維持管理ガイド2026を参照してください。

すくった油・残渣の捨て方

「すくった油はどこに捨てるのか」は迷いやすいポイントです。種類によって扱いが変わります。

  • バスケットの残渣(食材くず):水を切り、自治体のルールに従って処分
  • 浮上油(スカム):固めるか油吸着材で吸わせてから処分。自治体により可燃ごみで扱える場合がある
  • 槽底の汚泥・大量の廃油:産業廃棄物にあたり、許可業者への委託が必要

下水・排水に流すのは厳禁

すくった油や汚泥を下水・排水に流すのは、配管の詰まりや下水道の排水基準超過を招き、下水道局の指導対象になります。少量のスカムでも下水に戻さず、必ず回収して処分してください。自治体ごとに捨て方のルールが異なるため、地域の案内も確認しましょう。

やってはいけないNG行為

  • 熱湯で油を溶かして流す:配管の先で再び固まり、詰まりの原因になる
  • 油・汚泥を下水に流す:排水基準超過・配管閉塞・行政指導のリスク
  • 封水を戻さない:下水の臭いが逆流する
  • 汚泥を自社で一般ごみとして捨てる:産業廃棄物の不適正処理にあたるおそれ
  • 強力な薬剤の安易な使用:油を乳化させて下水に流すタイプは、かえって基準超過の原因になることがある

薬剤・バイオ製剤の選び方と注意点は、グリストラップの洗剤・薬剤・バイオ製剤2026で詳しく解説しています。

業者に頼むべき境界

日常清掃を自社で行っても、次のケースは業者に頼むのが基本です。

  1. 槽底の汚泥の全量回収(全槽清掃):汚泥・廃油は産業廃棄物。許可業者の委託・マニフェストが必要
  2. 配管の詰まり・高圧洗浄:油脂蓄積による詰まりは専門機材が必要
  3. 悪臭・虫の慢性化:日常清掃で改善しないときは原因の特定と全槽清掃が必要
  4. 保健所・下水道局の立入対応:清掃記録・産廃マニフェストの整備が求められる

自社の日常清掃と、業者による定期の全槽清掃を組み合わせるのが、コストと衛生の両面で最も合理的です。汚泥が必ず溜まる以上、業者清掃をゼロにはできません。許可業者の選び方はグリストラップ清掃・維持管理ガイド2026を参考にしてください。

参考にした公式情報

本記事は、下水道法・廃棄物処理法・自治体の維持管理資料をもとに、飲食店の実務で使いやすい形に整理しています。油・汚泥の捨て方や清掃頻度の運用は、店舗所在地の自治体・下水道局の案内も確認してください。

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よくある質問

グリストラップの掃除は自分でやってもいいですか?
バスケット(残渣カゴ)のゴミ取りや浮上油(スカム)のすくい取りなど、日常的な清掃は自社スタッフでも行えます。ただし、槽の底に溜まる汚泥の全量回収(全槽清掃)は、引き上げた汚泥・廃油が産業廃棄物になるため、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に委託する必要があります。自分でやる範囲とプロに頼む範囲を分けて考えるのが基本です。
グリストラップの掃除に必要な道具は何ですか?
ゴム手袋、油すくい用のひしゃくやアミ、浮上油を入れるペール缶やゴミ袋、こすり洗い用のスポンジ・ブラシ、油吸着シート、残渣を入れる袋などが基本です。汚れがひどい部分のために使い捨て手袋やマスクもあると安心です。ホームセンターで揃う道具で日常清掃は対応できます。
グリストラップの水の抜き方を教えてください。
槽内の水は、ひしゃくやポンプで汲み出すか、トラップ管(封水を保つ管)の構造に従って排出します。ただし、油分を多く含んだ水をそのまま下水に流すのは避けてください。スカムや汚泥を取り除いてから、トラップ管を元に戻し、最後に必ず水を張って封水を保つ(臭いの逆流を防ぐ)ことが重要です。構造が分からない場合は無理に分解せず業者に相談してください。
掃除の頻度はどのくらいが目安ですか?
自治体資料では、バスケット内のごみは毎日、浮上した油脂(スカム)は週1回以上、槽内の汚泥の引き抜きは月1回以上などの目安が示されています。揚げ物・中華・焼肉など油脂排出量の多い業態は、さらに高い頻度が必要です。日常清掃は自社で、汚泥の全量回収は業者で、と役割分担するのが現実的です。
すくった油や残渣はどう捨てればいいですか?
バスケットの残渣(食材くず)は、水を切って自治体ルールに従い処分します。浮上油(スカム)は、固めるか油吸着材で吸わせてから処分するのが基本で、自治体により可燃ごみとして扱える場合があります。一方、槽底の汚泥や大量の廃油は産業廃棄物にあたり、許可業者への委託が必要です。油や汚泥を下水・排水に流すのは絶対に避けてください。
お湯(熱湯)を流して油を溶かす掃除はダメですか?
おすすめできません。熱湯で油を溶かしても、配管の先で冷えて再び固まり、かえって詰まりの原因になります。グリストラップは油を冷やして固め、分離・回収するための設備なので、熱湯で溶かして流すのは設備の目的に反します。油はすくい取って回収するのが正しい方法です。
自分で掃除すれば業者は不要ですか?
日常清掃を自社で行っても、汚泥の全量回収(全槽清掃)と産業廃棄物としての適正処分は許可業者が必要です。日常清掃を丁寧にすると全槽清掃の間隔を適切に保てますが、汚泥は必ず溜まるため、定期的な業者清掃をゼロにはできません。自社清掃+定期的な業者清掃の組み合わせが基本です。
掃除をサボるとどうなりますか?
油脂や汚泥が溜まると、悪臭・コバエやゴキブリの発生、配管の詰まり・逆流、下水道の排水基準(ノルマルヘキサン)超過による下水道局の指導など、複合的な問題が起きます。日常清掃を怠ると全槽清掃の負担も大きくなり、結果的にコストが増えます。
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